AIが神になる日(松本徹三)
AIが今後社会をどう変えて行くのか、というのを、多少の技術的視点に加え、哲学的な視点から説明している。
BS(Before Singularity)とAS(After Singularity)で人間は何を考え、どうすべきか、という問は、現実味を帯びてきたAIの時代の前、つまり今まさに考えないといけないと感じた。
一方、本書の中で、必ずしも賛同できない主張も多々含まれている。
例えば、スポーツのくだりでは、それさえも超越したエンタメをAIが創造できるはずである。
エネルギー、機械、食べ物、エンタメ(映画やマンガ、ゲームなど)、その他諸々、AIが作り出すことができれば、モノやサービスの生産、製造コストが0になることで対価が不要になれば、究極働く必要がなくなる。
その時に何をして何十年も生きようか、というのを考えたい。
反脆弱性(ナシーム・ニコラス・タレブ)
感想や要約は不可なので、心に残ったことを少々。
開成中学合格者に対して、どこでどんな勉強をしたか、みたいなテレビのインタビューを見たことがある。
合格した彼は、テレビがついていて、お母さんがカタカタと包丁を使っているような、受験勉強には向いていないような台所で勉強していた。
雑音、騒音に対して脆いはずなので、絶対に静かな方が勉強できるよね?と思っていたが、
逆にのめり込むことで反脆い状況になっていたのでは、とこの本を読んで思う。
つまり、ある種のストレスや、変動的な何か、不確実な何かによって半脆い状況になる。
それをうまく利用する。
(本書が難しすぎてこんなことしか書けません)
鬼速PDCA(冨田和成)
大学、大学院の時に専攻していた生産管理工学、また社会人になってから開発チームでのディレクションを通じて、この辺の理論と実践は理解していたつもりだが、改めて筆者の実践方法を読んでみると色々気づきがあった。
PDCAの5割は計画で決まる(第1章)
計画の段階で曖昧な計画しか立てておらず、その結果、振り返りがしたくても大雑把な検証しかできていないというケースがほとんど
当たり前なんだけど、どんな仮説を立てて、何を検証したいのか、どんな数字を見たいのか、どういう反応を見たいのか、などを予め考えてからDOしないと、リファラーを忘れて数字が取れてませんでした、みたいなことが。
PDCAの階層(第1章)
ActionではなくAdjust(第1章)
どっちでも良いんだけど、個人的にハッとした所。すごくしっくり来る。
リーン的な思考に基づいたPDCA(第2章)
社内で下す99%の判断は、PDCAを回す前提に行っているので、「現時点で可能な限り精度の高い仮説を立てて間違っても仕方ない」くらいにしか思っていない。
Adjust可能な場合ならそれで良いんだけど、致命的な場合は仕方ないでは済まないよね、と思いつつ、
スパンとか、前述の階層の話を思い出すと、1社目が倒産しても2社目でAdjustすればいいい、っていう考え方も。
因数分解(第3章)
どんなゴールでも実現可能に見えてくる
生産管理工学の肝は因数分解と言っても過言ではない。生産管理工学に限った話出はないけど。
つまり、何か問題が起こった時に、その問題を眺めてても仕方ないわけで、一個一個に分解してあげると、難しそうに見えた問題が、これ知ってる!っていう進研ゼミみたいな流れで解決できるようになる。
絡まった大きなパスタの塊をそのまま食べようとしてもだめで、一本一本にほぐしてあげれば食べやすい、みたいな話。
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この本を読んで、どうやって仕事やプライベートでPDCAを回すかっていうPをするかしないか、ってのが大事。
プラットフォームの教科書(根来龍来)
業界に詳しくない人が初めて読む教科書としては、わかりやすい文章と図で説明していてすごくいいが、業界の人であればごくごく当たり前のことなので、おさらいとして読むのがいいかもしれない。
また、各事例に対して、教科書的な(後付の)理論としてはすごくわかりやすいが、実践して、新しいプラットフォームを作ってください、というのはだいぶジャンプが必要。
個人的に参考になった箇所。
1. スマホが主役でいるのはあと5年(01 プラットフォーム革命)
5年かどうか、というのはどうでもいいが、以下が参考になる。
だからプラットフォームのビジネスに関わる人は、次のような問いかけを忘れてはいけない。
「このビジネスのプラットフォームは何か?」
「そのプラットフォームはどういう技術や製品を前提にしているか?」
「その技術や製品の代替品はいつどこから現れるか?」
2. プラットフォームは1つとは限らない(02 レイヤー構造)
平たくいえば、どこを切り取るか、という所でプラットフォームの見方が変わる。ある視点から見ればプラットフォームだけど、 もう少し広い視点で見ればプラットフォームonプラットフォームであり、さらに広く見ればプラットフォームonプラットフォームonプラットフォームであり、みたいな話。
facebookとかCygamesとかを想像するとわかりやすいかもしれない。
3. チキンエッグ問題を解決する(10 エコシステムのマネジメント)
メルカリやチケットキャンプなどのマーケットプレイスでよくある「にわたま」の話。これに対して著者としての突破法。
この問題を解決するには、泥臭い努力が欠かせない。つまり、協力してくれる人(会社)を増やすために「口説き落としていく」ことが重要になる。
これも一つの解だけど、マーケットプレイスのタイヤの両輪問題、天秤の両サイド問題、言い方はなんでも良いけど、どういう需要供給のバランスでマーケットプレイスが成長するのか、世界のスタートアップの事例集みたいなものがあれば知りたい。
プラットフォームの教科書 超速成長ネットワーク効果の基本と応用
- 作者: 根来龍之
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2017/05/26
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9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために(伊藤 穰一、ジェフ ハウ、山形 浩生 (翻訳))
書いてある9つの原理原則自体は新しいものでもなく、
違う部分に関しては、原理原則を伝えるための補助線として、
9プリンシプルズ
・権威より創発 / Emergence over authority
・プッシュよりプル / Pull over push
・地図よりコンパス / Compasses over maps
・安全よりリスク / Risk over safety
・従うより不服従 / Disobedience over compliance
・理論より実践 / Practice over theory
・能力より多様性 / Diversity over ability
・強さより回復力 / Resilience over strength
・モノよりシステム / Systems over Objects
参考になった箇所
「安く買って高く売る」
以外にもう一つベンチャー投資からの重要な教訓は、 イノベーションの費用がとても安くなったら、 勝ちを増幅することに比べて、 損失を減らそうとするのはずっと重要性が低くなるということだ。
人生の勝算(前田裕二)
8歳で最愛の両親を失い、路上ライブで弾き語りをする中で身につけたコミュニティを形成する術、外銀時代から続く超ハードワーク術(5時出社、日を跨いでの帰宅)、showroomのローンチから今までの成功や失敗など、29歳にしてこれほど経験しているのか、と驚かされることばかり。
よくある自己啓発書ではなく、自分がやることをやっているのか、当たり前のことができているのか、
また良質なコミュニティを作るためには何が大切か、というところまで、非常に参考になる箇所が多々あった。
特に参考になった箇所をいくつかピックアップ。
1. エンタメの業界構造の変化(第2章)
消費スタイルが、単なるモノ消費・コンテンツ消費から、ヒト消費・ストーリー消費に移ってきているのです。
「クオリティ」の定義が、変わってきているのです。(中略)歌のうまさや芸術性が価値になるのではない。コンテンツ供給側と受け取る側が心で繋がって、そこに絆が生まれる。コミュニティが生まれる。
プロが作る映画、歌手が歌う曲は、それはそれでこれまで通りいいものだけど、例えばなんでもない人、歌手を目指してたけど無理だった人が持つ背景、ストーリーに共感し、一方向ではなくインタラクティブなコミュニティが形成されうる。
2. モチベーションと、そのための見極め(第4章)
世の中の課題は、大体モチベーションで解決できると思っています。(中略)ぶん殴られようとトラブルがあろうと、立ち上がって、showroomを必ず成功させると、決めきっています。
モチベーションを生むために、必要なのが「見極め」です。見極めが甘いと頑張り続けることはできません。
平たく言えば仮説を立てて、徹底的に調べて金脈を掘りに行く、っていうことかと。見極めたらあとはやりきるだけ。
3. ルールを作る(第6章)
アメリカ人はルール作りに長けている。
日本人はルールの中で頑張ることが得意だが、アメリカ人はルール、プラットフォームを作ろうとする。自分たちで作ったルールなので勝てるようになっている。
フェイスブック 不屈の未来戦略(マイク・ホフリンガー)
言わずと知れた世界最大のSNSであるfacebookであるが、その成長の軌跡やinstagramなどの買収の舞台裏をインサイダーとして見てきた、 著者が描いたノンフィクション。
facebookそのものが偶然グロースしてきたわけではなく、流行ってるから、という理由だけでwhatsappやinstagramを買収してきたわけでもなく、圧倒的なミッションと、ビジョンとエグゼキューションがあってこその成長、買収だった。
参考になった点をいくつか。
1. 桁外れのため成功のために必要なもの(第2章)
まとめると、桁外れの成功のために必要なのはたった3つの要素だ。愚かで賢いビジョナリーであり、不可能を可能にするミッションに絶えず挑み続け、プロダクトを軸としたプラトン・アカデミーを作ればいい。
2. ユーザー個人と世界の間にある4つのメディア(第4章)
ユーザー/デバイス(スマホなど)/パイプ(Verizonなど)/レンズ(google、fbなど)/コンテンツ(youtube、BuzzFeedなど)/世界
レンズは人とコンテンツをつなぐマーケットプレイスだ
3. 「フェイスブックは最も困難な時期に直面しているが、まだ仕事を楽しんでいるか」(第12章)
楽しいかどうかは僕にとってはあまり重要ではありません。すべてはミッションのためです
フェイスブック 不屈の未来戦略 (T's BUSINESS DESIGN)
- 作者: マイク・ホフリンガー,Mike Hoefflinger,滑川海彦,大熊希美
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